一歳半検診、もしかしたら引っ掛かるかも…と覚悟はしていても、いざ現実になると落ち込む方は多いのではないでしょうか。
わたしもそうです。
わたしは作業療法士であり、発達分野に関する勉強は一通りしてきました。実際に自閉症や知的障害の子供達と関わった経験もあります。
だからこそ息子が1歳過ぎた頃からなんとなく発達の遅れを感じていたし、1歳半検診を受ける頃にも発語なし、指差しなしだったため、絶対引っ掛かるだろうなぁと覚悟はしていたつもりです。
それでもやはり現実になると落ち込みましたね…。
これから一歳半検診を受ける予定だけど、引っ掛かるのではないかと心配されている方もいるのではないでしょうか。
- 実際に要観察となった息子の発達の様子
- 一歳半検診ではどんなことをするのか
- 要観察になった後の流れ
- 言葉の遅れで「要観察」となった子供とのかかわり方
などをまとめていきます。
子供の発達は個人差が大きく、一般的に一歳半検診で引っ掛かっても発達障害と断定することはできません。
一歳半検診で引っ掛かるということは、「発達になんらかの問題がある可能性があるからよく観察していこう」ということです。
地域によって検診の方法や内容は異なることがありますので、参考程度に読んでみてくださいね。
1歳半検診で引っ掛かった息子の発達状況は?
まず、1歳半検診時の息子の様子です。
- 指差しなし、クレーン現象あり
- 発話なし(かなり怪しいにゃーにゃー、わんわんはたまにある)
- 簡単な指示(ぽいぽいして、ないないしてなど)に従うことができない
- 機嫌が良いと「バイバイ」や「パチパチ」をする
- 呼びかけると振り向くことはあるが、5割程度
- 視線は合ったり合わなかったり
- 歩行は安定、手すりがあれば一人で階段を上って滑り台を滑ることができる
- 公園やショッピングモールなどベビーカーから降りた途端1人でどこかへ行ってしまう
- 同じところをぐるぐる回ったりすることが多い
- ブロックは10個くらいつめる
- 抱っこは好き
- 夜はよく寝る、昼寝も毎日2時間程度
ネットで1歳半検診について検索すると、自閉症の場合にみられる特徴がたくさんでてきますよね。
自分の子どもに置き換えて不安になっている方も多いのではないでしょうか。
私の息子にもいくつかその特徴がみられていました。
0歳~1歳半までの成長はこんな感じです↓
- 出生体重2814g 普通分娩
- 寝返り 5カ月
- ひとり座り 7カ月
- ハイハイ 8カ月
- つかまり立ち 8カ月
- ひとり歩き 12カ月
身体的な発達に問題はありませんでした。
育てやすいわけでも育てにくいわけでもなく、夜も昼間もそれなりに泣くけど抱っこすれば落ち着くし、なにも問題に感じたことはありません。
あやせば笑うし、喃語もでるし、とにかく可愛かったです。
人見知りに関しては全くないわけではなかったですが、かなり少なく「人懐っこいね」とよく言われていました。
なんとなく発達が遅いな、と感じたのは1歳すぎてから
1歳までは本当に何も問題ないと感じていました。
いろいろな遊び場へ行きましたが、ほかの赤ちゃんと比べても変わった点はなかったです。
1歳過ぎて歩けるようになってから、周りとの差を感じるようになりました。
特に言語面と遊び場での振る舞いです。
同じくらいの月齢の子でも、なんとなく単語が出ていたり、「あっ」と言いながら気になったものを指差ししてママを見たり。
よく行っていた遊び場のルール(滑り台のところにままごとのおもちゃを持ち込まないなど)を母親に促されれば守ることが出来ていたり。
私の息子は1歳半になってもそれらすべてができませんでした。遊び場のルールも、私が「だめ」と教えても理解していない様子で、何回も注意するのも、おもちゃを取り上げるのも嫌だったので行くのをやめてしまいました。
それでも「発達には個人差があるから、1歳半検診まではとにかく考えすぎないように楽しく過ごそう」と思い、毎日色々な所へ外出していたのを覚えています。(保育園は申請していましたが保留だったため、自宅で面倒をみていました)
そして1歳半検診直前、コミュニケーション面でできるようになったことはゼロ。
0歳の時は、1カ月の短い期間でも成長を感じ、できることが増えていくのが嬉しかったです。
1歳を過ぎてからもそうなると思っていましたが、それは現実に叶わず…。
息子はいつも楽しそうに1人で遊んでいるけれど、簡単なコミュニケーションもとれず「ママに何かをしらせたい」とか、「ママの真似っこしたい」とか、そういった様子が一切みられないこと、本当に悲しく不安になる毎日でした。
もちろん「発達には個人差がある」ので、息子の行動は「個性」の範囲内かもしれないし、ここから急に成長する可能性も0ではないです。
ただ、毎日一緒にいて観察していると「普通」ではないと思ってしまう自分に更に落ち込みました…。
それでもまだ内心は「1歳半検診で急にできたりして」と少し期待し楽しみにしている自分もいました。
1歳半検診でなにをしたか
そして不安と期待を抱えながら1歳半検診へ向かいました。
会場へ着くなり感じる、1歳半てこんなにおりこうさんなの??
私の住んでいる地域では、検診会場の待合室として大きな部屋にパイプ椅子が母と子用に2脚ずつくっつけて何個も並べられており、好きなところに座って順番が呼ばれるのを待つシステムです。
受付を済ませ待合室に入ると、お母さんの横にちょこんと座るかわいい子たちがたくさんいました。
なんで座っていられるの!?
純粋にそう思いました。
中には立ち歩いている子もいましたが、お母さんからそんなに遠く離れていくような子はいませんでした。
私の息子はというと、抱っこから降ろすと速攻でスタスタとどこかへ歩き出しました。後を追いかけて手を握るのの、息子は自分の行きたい場所へ行かせてもらえないことに怒ったのか「きーっ」と声を出し手を振りほどこうと必死でした。
わたしはあきらめ手を握りながら息子のしたいように歩かせることに。
部屋中くまなく歩いたおかげで色んな子を見るこができました。
お母さんの横に座ってお絵描きをする子、もらったパンフレットをめくって遊ぶ子、お母さんと壁に貼ってあった絵を指差しながら「りんご」などとお話する子、待合室から外に出て行ってしまったがお母さんの「こっちだよ、おいで」の声で戻ってくることができる子。
息子と歩き回って息が切れているのは私だけでした…。元気な証拠ですけどね…。
まずは保健士さんと問診
呼ばれた人から保健士さんと問診をしました。
問診時は机を挟み対面で座り、子供はお母さんの膝に抱っこです。
まずは息子の現在の能力チェックです。
動物や車、果物がかかれた数ページの冊子を広げ「わんわんどこ?」や「ぶーぶーは?」の質問をされました。
私の息子は指差しできず、本を手に取りページをペラペラめくり遊びはじめてしまいました。もちろん「わんわん」や「ぶーぶ」ばどの発語もありません。保健士さんの方をチラッと見てはいましたが、指示の理解はしていない様子でした。
息子が冊子で遊んでいる間に、自宅での様子を聞かれました。名前を呼ばれて反応するか、ポイしてきてと言われてごみ捨てができるか、ママになにか伝えようとしてくるかなどです。
名前を呼ばれれば反応はするものの、指示は通らない。ママに何かを伝えようとしてきたこともない。と話しました。
そして次にブロックが登場しました。息子は目の前にブロックが置かれると、冊子は手放しブロックへ集中。最初は並べて楽しんだ後、積み上げました。ブロックは得意です。そして最後に「ブロックないないして」と保健士さんに言われましたが、無視して積み続ける息子。保健士さんが「ブロックないない」と言いながらブロックを手に取ると、泣きはしないものの取り返そうと手を伸ばしていました。
一通り息子とのやり取りが終わってから、事前に書いていた問診表を基に、困っていることや生活リズム、食事面について話が進みました。
私は困っていることに、「簡単なコミュニケーションがとれない」「野菜をあまり食べない」「歯磨きを嫌がって仕上げ磨きが難しい」と書いたので、それらを一個ずつ掘り下げて聞いてくれました。食事に関しては希望があれば検診後に栄養士さんの指導を受けられるとのことでしたが、待ち時間も長いとのことだったので、どうしても困ったら電話で相談するということにしました。歯磨きに関しては検診の最後に歯科衛生士さんに指導を頂きましたので、その内容はまた記事の後半で。
コミュニケーションに関しては、直前の息子の様子をみても明らかにやりとりができていなかったので、2歳まで「要観察」ということになりました。2歳の誕生日を過ぎたころ、電話で確認しその様子で2歳検診をするか決めるそうです。
今回の1歳半検診で問題がなかった人は、3歳まで検診はありません。
続いて身長・体重の測定
保健士さんとの1対1の問診が終わってからは、大部屋に移動し身体測定をしました。
この時はほとんどの子が泣いていて、なんだかホッとしたのを覚えています。
うちの息子も大泣きでしたがそこまで暴れることはなく、体重・身長を図り終えることができました。
なかには暴れすぎて体重が図れず、お母さんの抱っこで体重計に乗っている子もいました。
パンツ一丁、大泣きのまま内科検診へ
内科検診では、胸の音をきいたり、身長・体重が順調に増えているかなどの話をしました。
息子は先生が聴診器を取り出した時点で泣き声が加速ししたため、先生の声はほとんど聞こえませんでした。笑
コミュニケーション面などの話は一切なく、検診はサクッと終了。
大泣きの息子を抱え、そのままお着換えし、最後の歯科検診へ。
大泣きのまま歯科検診へ
内科検診を終えても泣き止まない息子。
泣いたまま歯科検診へ。「まだなにかあるの!?」といわんばかりに更に大泣き。
それでも対面抱っこの状態から上半身を先生の方へ倒す形で検診スタート。
大泣きのおかげでお口の開きはばっちりでしたが、ここでもほとんど何をいわれていいるのか聞き取れず。笑
虫歯はなく、歯の状態は問題なしでした。
歯科衛生士さんが教えてくれた仕上げ磨きのコツ!
問診表に「仕上げ磨きが上手くできない」と記入していたので、歯科衛生士さんが個別で指導してくれました。
仕上げ磨きのコツはこちらです!
- 歯ブラシは子どもが使う用と、大人が使う用の2本用意する
- 子どもが使う歯ブラシは、歯にあたる面が大きいもの。
- 大人が使う歯ブラシは、歯にあたる面が小さいもの。
- 歯ブラシを使う前に、口の周りを指で触って慣れさせる
- 慣れてきたら口のなかにも指をいれて歯茎を撫でるようにマッサージ
- その後歯ブラシを使って仕上げ磨き。嫌がるようなら「3秒ね」など数を数えながら実施
息子は大泣きでしたが、言われた通り実践すると普段の仕上げ磨きよりしっかり磨けました!
やはりプロのアドバイスはすごいですね!
要観察になるとどうなるの?
要観察になった後の流れ
要観察になった場合、2歳の誕生日後に発達状況について確認の電話がくるそうです。
そこで、発語がまだなかったり心配があるようだったら、2歳検診を実施するといった流れです。
要観察のまま、2歳まで半年…心配がいっぱいで心もつらくなりますよね…。
要観察だからといって発達障害であるとは限らない
今回の検診で要観察になったからといって、発達障害であるとは限りません。
子供の発達には個人差があります。
生まれ育った環境や、家族や他者との関わりも大きく影響します。
1歳半検診で引っ掛かったからといって、今後どう発達の経過をたどるのかはわかりません。
とりあえず子どもの様子をよく観察し、状態を把握しましょう。
それでも心配がある場合は、地域の子育て担当課や福祉担当課に相談するのが良いでしょう。
言語の遅れで要観察になった場合、発達を促すためにできること
ネットで情報収集もいいけど、まずは目の前の子どもの現状を把握しよう
一歳半検診で引っ掛かったことをきっかけに「発達障害かもしれない…」と不安になり落ち込む気持ちはわかります。
ネットで検索しまくり、情報を収集する人も多いでしょう。
ネットで情報を収集するのは決して悪いことではありません。
しかし、発達状況は十人十色です。
まずは目の前にいる子どものことをよく観察し、現状を把握してみましょう。
何ができていて、何ができないのか。
発語はなくても簡単な指示理解は可能か。
そもそも話しかけた人の方に注意が向いているか。
発語がなくても子どもからコミュニケーションをとろうとしてくるか。
などなど、観察してみましょう。
どんどん話しかけてみよう
話しかけたり、質問をしたりすることで、子供が自分の気持ちや考えを表現できる機会をつくります。
子どもが何かに熱中していると声掛けに気づいてもらえない場合もあるので、子どもが興味を持てるようにパペットを使ったり、声色を変えてみたり、視線が合いやすいように目線を同じにしたり、工夫しながらやってみましょう。
読み聞かせをしよう
絵本を読むことで語彙が増えたり、言語理解が向上したり、といった効果が期待できます。
絵本はとにかく子どもが興味をもつものがおすすめです。
「知育」や「言葉の発達を促す」といった絵本もたくさんありますが、子どもが興味をもって見てくれないと意味がありません。
そのためにも、何が好きなのか、何に興味があるのか、色々試しながら探っていけると良いですね。
聴覚刺激も楽しもう
歌やリズム遊びは言語学習に良い影響を与え、言葉の発達に役立つと言われています。
歌を歌ったり、音楽を聴いたり、太鼓を叩いたり、一緒に楽しんでみましょう。
何でもやればいいというわけではない
ネットで調べると、「言葉の発達が遅れている子どもにはこれをやるといい」みたいな情報はたくさん出てきます。
やってみることは良いことです。
しかし忘れないでほしいのは、無理に頑張らせず、子どもが楽しく前向きにできているかということです。
日々の成功体験は子供の自尊心や自信を作っていきます。
その自尊心や自信は、子供を更に成長させます。
何でも試してみることはとても良いことですが、子どもが楽しめているかもよく観察し、肯定的な雰囲気で関われると効果的です。
心配な時は専門家を頼ろう
ネットで検索して不安いっぱいになって、あれこれ試してもうまくいかなくて…
そんな時こそ専門家に相談してみましょう。
まずは地域の子育て担当課や福祉担当課に相談してみることで、必要であれば各専門機関に繋げてくれるはずです。
まとめ
1歳半検診は子供の健康と発達をチェックする重要な検診です。
言葉の遅れや身体機能の遅れなどが原因で「要観察」となるケースは少なくありません。
それでも引っ掛かると落ち込みますよね。
ネットで情報収集も良いですが、目の前の子どもをよく観察し、現状を把握してみましょう。
そして関わり方を工夫してみましょう。
それでもうまくいかない、とにかく不安だ、という場合は専門家に相談することをおすすめします。
ネットにもたくさんの情報がありますが、子どもの発達は十人十色です。
その子どもにあった関わりができたら良いですね。